
マクラーレンがモンツァで苦戦した理由
注目すべき点:
F1のトップ争いで優位を築いてきたマクラーレンにとって、イタリアGPのモンツァは久々の厳しい週末となりました。予選ではレッドブルのマックス・フェルスタッペンにポールポジションを奪われ、その優位性が揺らいでいます。
全体像:
ランド・ノリスとオスカー・ピアストリがこれまで2、3テンポほど他車をリードする「プライベートな戦い」を楽しんでいた状況は、モンツァでは彼らが集団の中に引き戻される形となりました。僅差の予選争いでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンがサプライズのポールポジションを獲得しました。メルセデスのジョージ・ラッセルは、マクラーレンのパフォーマンスの変動について、「説明がつきにくい」と述べています。
トラック特性の影響:
マクラーレンのチーム代表であるアンドレア・ステラは、モンツァでマクラーレンのアドバンテージが減少した理由をシンプルに説明しています:
- サーキットの特性: モンツァは長い直線路(マクラーレンが最も得意ではない)が多く、MCL39が通常の強みを発揮できるコーナーが非常に少ないです。そのため、ハンガロリンクやザントフォールトのような他のサーキットと比較して、マクラーレンが他車より優位に立てる区間が短いのです。
- グリップの向上: 2024年の再舗装後、アスファルトが定着し、今シーズンは以前よりもグリップが高くなっています。これにより、マックス・フェルスタッペンのポールタイムがF1史上最速のラップとなるなど、ラップタイムが大幅に向上しました。グリップの向上は、コーナーでの走行時間をさらに短くし、マクラーレンの「グリップに依存するゾーン」を限定的なものにしています。
- 全開走行の割合: 予選データによると、マクラーレンはモンツァで75%の時間を全開走行しています。これはハンガロリンクの58%と比較してはるかに高く、MCL39の設計にはあまり適さない環境です。
空力コンセプトの相違:
- ダウンフォースレベルでの効率: マクラーレンの車両は、高いリアウイングレベル、つまり高いダウンフォース状態で最高の空力効率を発揮するように設計されています。しかし、モンツァのようにダウンフォースレベルが低くなると、他社と比較して全体的な空力効率が低下します。
- レッドブルの強み: レッドブルは低ダウンフォースにおいて優れた効率性を示すという共通認識があります。アンドレア・ステラは、ダウンフォースレベルを下げた場合、レッドブルが車両の空力効率をかなり維持できることをマクラーレンも理解しており、このレベルのダウンフォースではレッドブルが総合的に最高の車になる可能性があると述べています。
レッドブルの復活:
レッドブルの好調は、12ヶ月前とはまったく異なる状態にあることも一因です。2024年のRB20はモンツァで大きな弱点を露呈しましたが、これは高ダウンフォースによって隠されていたものでした。コーナー進入時のオーバーステアや脱出時のアンダーステアといったコーナーバランスの問題は、空力バランスの劇的な変化によるものと指摘されていました。マックス・フェルスタッペンがこの問題を指摘した後、レッドブルは今シーズンに向けて解決に取り組み、RB21ははるかに優れたパフォーマンスを発揮しています。フェルスタッペンは、「少なくともコーナーを攻め、必要な時に回転を得ることができた」と語っています。
今後の展望:
モンツァでの予選の速さが必ずしもレースペースに直結するとは限りません。レッドブルもマクラーレンもこのことを認識しており、フェルスタッペンは「ザントフォールトではかなり良い感触だったが、レースではまったく良くなかった」と述べ、油断できない姿勢を示しています。レースでは燃料積載量による車重増加やタイヤの劣化により、ドライバーはより早くブレーキを踏み、コーナーをゆっくり通過し、より遅く加速するため、コーナーでの走行時間が増加します。これにより、全開走行の割合は予選の75%/25%からレースでは68%/32%へと変化し、この状況はマクラーレンにとって有利に働く可能性があります。
元の記事 :https://www.the-race.com/formula-1/whats-made-mclaren-beatable-at-monza/