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F1コストキャップ:解説

F1コストキャップ:解説

要約
F1のコストキャップは、2021年から導入され、チーム間の格差是正と財政的持続可能性向上を目指す。車両開発費に焦点を当てるが、ドライバー給与などは対象外。違反者にはポイント剥奪や失格などの厳しい罰則が科される。

フォーミュラ1は2021年にコストキャップ(費用上限)を導入し、チームによる車両開発への支出を制限することで、より公平な競争環境の創出と、スポーツにおける財政的持続可能性の促進を目指しています。このキャップは主に車両性能に関連する支出を対象としており、ドライバーの給与やトップエグゼクティブの報酬などは除外されています。

なぜ重要か:

F1は歴史的に莫大な財政力を持つチームが支配的であり、それが顕著なパフォーマンスの格差を生んできました。コストキャップの導入は、以下に向けた重要な一歩です。

  • レースの公平化: 資金力の乏しい小規模チームも、巨大チームとより効果的に競えるようになります。
  • チームの存続確保: 財政難によるグリッド(出走台数)の縮小を防ぎます。
  • スポーツのイメージ向上: 過剰な支出というイメージを払拭し、F1を世界の持続可能性への取り組みと一致させます。

詳細:

  • 導入と変遷: コストキャップは2021年に導入され、当初は1億4,500万ドルに設定されました。これはCOVID-19パンデミックの影響で、当初計画の1億7,500万ドルから減額されたものです。2022年と2023年にはさらに500万ドルの減額があり、現在ではインフレ調整が適用されています。
  • 対象となる支出: コストキャップは、ステアリングホイールからホイールナットに至る個々の部品、運用要素、ほとんどのチーム人員、ガレージ設備、スペアパーツ、輸送費など、車両性能に関連するほぼすべての費用を網羅しています。車両開発費は主要な焦点であり、チームは設計、製造、部品数量に関する支出を慎重に管理する必要があります。
  • 除外される支出: いくつかの重要な経費はコストキャップの対象外となっています。
    • ドライバーの給与。
    • 給与の高い上位3名のスタッフの報酬。
    • 移動費。
    • マーケティング費用。
    • 不動産・法務費用。
    • エントリー・ライセンス料。
    • F1以外の活動やロードカー関連の活動。
    • 育児・病気休暇手当、従業員ボーナス、スタッフの医療手当。
  • エンジン規定: エンジン開発と製造は、別個のコスト規制によって管理されています。これは、各チームがパワーユニットを調達する方法の複雑性を考慮したものです。

今後の展開:

コストキャップ違反には、ポイント剥奪、レース失格、罰金からウインドトンネルテストの制限まで、重大なペナルティが課せられます。「軽微な超過支出」はキャップ額の5%未満の超過と定義され、それを超える場合は「重大な超過支出」と見なされ、ワールドチャンピオンシップからの除外につながる可能性があります。6名の審査官で構成されるコストキャップ裁定パネルが、これらのペナルティを決定・適用する責任を負い、FIAの厳格な財務監督へのコミットメントを強調しています。

  • ペナルティの正確な性質は、F1の財務規制の複雑性を考慮した、ケースバイケースの判断を可能にするため、ある程度柔軟性が保たれています。

元の記事 :https://www.motorsport.com/f1/news/f1-cost-cap-what-is-it-how-it-works/10379799/

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