
FIA会長選、候補者撤退で無投票へ 倫理違反の疑いも
FIA会長選、候補者撤退で「無投票」の民主主義に疑問符
FIA(国際自動車連盟)の次期会長選に立候補していたティム・メイヤー氏が、自身の選挙運動の終了を認めました。現職のモハメド・ビン・スライエム会長が無投票で再選される見通しとなったため、メイヤー氏は、この状況を自身と加盟クラブにとって「衝撃的」だと表現。FIAの民主的なプロセス改革を今後も推進し、倫理規定違反の疑いについて苦情を申し立てる意向を示しました。
なぜ重要か:
選挙戦が行われない事態は、FIAの民主的正当性とガバナンスに深刻な疑念を投げかけます。F1を含む世界モータースポーツを統括する組織において、選挙プロセスの侵害は、加盟クラブ、主要投資家、そして公衆からの信頼を損なう可能性があり、将来の収益やスポーツの評判に影響を与えかねません。
詳細:
- 現職無投票当選へ: 特定の選挙規則により、モハメド・ビン・スライエム会長は12月の投票における唯一の適格候補者となり、事実上、単独での立候補となりました。
- 会長リストの要件: 立候補者は、上院議長、モビリティとスポーツ担当副会長、および7名の地域スポーツ副会長を含む、計10名の「会長リスト」を編成する必要があります。
- 南米からの障害: メイヤー氏を含む対立候補は、リストを完成させることができませんでした。なぜなら、南米からはベン・スライエム氏を支持するファビアナ・エクレストン氏ただ一人しか適格と判断されなかったため、他の候補者は必要な要件をすべて満たすことが不可能となったのです。
- メイヤー氏の反応: ティム・メイヤー氏は失望を表明しつつも、「今回は選挙はない。アイデア間の議論もなく、ビジョンの比較もなく、リーダーシップの検討もない。候補者は一人、現職者だけだ。これは民主主義ではない。民主主義の幻想だ」と述べ、FIA改革への決意を改めて表明しました。
- 倫理違反の申し立て: メイヤー陣営は、選挙プロセスの透明性と公正性への懸念から、FIAに複数の倫理違反の苦情を提出しています。
- 説明責任への懸念: メイヤー氏は、FIA会長または上院議長が、当事者でありながら倫理違反の苦情に対して最終決定権を持つという重大な欠陥を指摘し、システム内の真の説明責任に疑問を呈しています。
- 透明性の欠如: 候補者指名委員会は、議事録や会議の詳細を公開せず、世界モータースポーツ評議会の申請者全リストの開示を拒否しており、透明性を欠いていると非難されています。
- アフリカ候補者の不足: 南米と同様に、アフリカからも適格と判断された候補者はわずか2名であり、対立候補の選択肢をさらに制限しました。
全体像:
この無競争選挙は、FIA内部におけるガバナンスと民主的原則に関する、より深い制度的な課題を浮き彫りにしています。その影響は、単なる会長選を超えて、ステークホルダーの信頼や、世界モータースポーツの長期的な健全性に影響を及ぼす可能性があります。既存の法規やプロセスが、現職者への正当な異議申し立てを阻止するために悪用されうる現状は、批評家が真の民主的監督が欠如していると主張するシステムを作り出していることを示唆しています。
今後の展望:
メイヤー氏は選挙への立候補を断念しましたが、彼の改革推進と倫理違反の申し立ては、FIAへの圧力を維持するでしょう。別の会長候補であったローラ・ビジャール氏も、FIAに対して法的な書簡を送付しています。FIAがこれらの深刻な申し立てにどのように対応し、選挙プロセスの見直しや将来の透明性・公正性の確保のために、どのような内部的または外部的な措置が講じられるかは、今後の注目点です。
元の記事 :https://www.the-race.com/formula-1/fia-presidential-candidate-concedes-defeat-an...