
FIAの衝撃的なADUO判定:レッドブルを基準に据え、メルセデスにアップグレードの優位性を
モナコGPの週末が幕を閉じましたが、パドックを揺るがしたのはキミ・アントネッリの勝利よりも、FIAが発表した「追加開発およびアップグレード機会(ADUO)」期間の初分析結果でした。苦戦するメーカーの差を埋めるための救済策であるはずのこの制度が、皮肉にも競争状況を歪める結果となっています。
Why it matters:
ADUOシステムは、ベンチマークとなる基準に届かないメーカーに予算やテストベンチの追加時間を許可することで、特定メーカーによる独占を防ぐ目的で導入されました。しかし、FIAがオントラックで圧倒的な強さを見せるメルセデスではなく、レッドブルをベンチマークに指定したことで、追走組は「動く標的」を追うことになります。本来追いつくべきメルセデスがアップグレード枠を勝ち取ったため, 格差を縮めるどころか、さらに広がる懸念が生じています。
The Details:
- 判定内容: FIAはベンチマークに対する性能に基づき、メーカーを3つのティアに分類しました。
- レッドブル: ベンチマークに指定(アップグレード不可)。
- メルセデス: 今シーズン1回および2027年に1回のアップグレードを許可。
- フェラーリ、アウディ、ホンダ: 今シーズン2回および来年に2回のアップグレードを許可。
- 制度の盲点: レッドブルが基準となったことで、予算と開発時間が制限される一方、メルセデスは既に優れたユニットをさらに進化させることができます。これにより、レッドブルを基準という枠に閉じ込め、追撃を事実上阻止する形となりました。
- 測定の乖離: この論争の根源は、ADUOが内燃機関(ICE)の出力のみを測定し、実際のラップタイムに不可欠なエネルギー回収や展開、バッテリー効率などのハイブリッド要素を無視している点にあります。
The Big Picture:
この裁定は激しい政治的論争を巻き起こしています。トト・ヴォルフ代表は以前、ADUOがリーダーを「追い抜く」手段になってはならないと警告していましたが、現状はむしろ現状維持を助長し、トップのリードを決定的なものにする可能性があります。ADUOの完全撤廃か、あるいはICE出力以外の測定パラメータへの拡張を求める急進的な声が上がっています。
What's next:
この決定は、来年に向けた内燃機関と電気出力の比率を60:40とする議論に大きな影響を与えます。フェラーリとアウディは、メルセデスの自由度を制限するために特定のハードウェア変更に抵抗してきましたが、メルセデスがアップグレード権を得た今、フェラーリはパワーユニット設計の完全なリセットを支持する方向へ転換するかもしれません。
次戦のスペインGP週末にかけて、規制改正を巡る激しい政治的駆け引きが繰り広げられるでしょう。
元の記事 :https://www.the-race.com/formula-1/f1-shock-red-bull-aduo-verdict-consequences/






